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◆◇ 彼女と彼 ◇◆

  10, 2017 23:05

 

 時刻は深夜12時。

 翔野鷹也は、青白く無機質な光りが照らす長い廊下を、早足で歩いていた。

 この日、阿澄教授と的場は学会で、医科学研究所を留守にしている。

 途中、監視カメラがあるので、鷹也は映らないように工夫しながら進んだ。

自分の勤め先なのに、まるでコソドロに入ってる気分だなあ。

 彼の首筋に冷や汗が流れる。

 やがて、地下へと続く古びた扉の前に来る。

ドアノブに鍵を差し込み、薄暗い室内へ入ると、地下二階まで階段を下りた。

安堵の息をついた瞬間、何者かが目の前を横切ったので、鷹也は慌てた。

横切った者は、世界初のクローン人間である通称「イブⅠ」だった。

 鷹也がイブⅠの細い腕をつかむ。

「イブ、遅くなってごめん。さあ、これを着て」

 鷹也は、来る途中購入してきた黒いワンピースを彼女に着せた。

そして、彼女の長い髪の毛を、後ろでひとつにまとめた。

イブⅠが、あどけない顔で鷹也に微笑みかける。

 

002.jpg   

 

彼は彼女の頭を優しくなでると言った。

「よし、ついておいで」

 彼らは薄暗がりの中、地下二階の階段を駆け上がった。

地下一階の部屋には、複数の水槽の中で男女のクローン達が眠っている。

覚醒の時期を待つクローン達を横目に、さらに階段を上がる。

古めかしい扉を開けて、おそるおそる地上一階の廊下に出た。

 二人は手をしっかりつなぎ、青白く無機質な光りが照らす、長い廊下を走る。

 誰もいないのを確認しながら研究所の裏口から出ると、車を停めてある駐車場へ急ぐ。

 とうとう彼らは外へ出る事ができた。

 

    by 杖男

 

                   003.jpg


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