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-散文詩-

  19, 2017 19:28

 

 

無人駅から改札口を抜け、初雪が降りた白い駅前通りを歩く。

人影はなく、一匹の痩せた野良犬がゆっくりと横切る。

辺りには古い商店と民家がまばらに点在している。昔のままだ。

天空をぐるりと仰ぎ見ると、昼と夜の境目の紫紺の空が、

赤ん坊のように小さな星を幾つも瞬かせ、僕におかえりと呼びかけた。

翠、おかえりと。ただいま、帰ったよ。

僕は未来の優しい記憶の中に(それは彼女)、あるいは懐かしい母の胎内へ(それはあの森)、

引き寄せられるように還ってきた。

白く銀色に透明で、朝露に濡れた蜘蛛の糸みたいに儚く繊細で、再生と復活とリアルな夢幻に満ちた家。
 
               
                               
                               短編小説「翡翠の森」より
 
 
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